マンションのリフォームは許可が必要?承認・届出・不要の3段階

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リフォームの申請書類と床材サンプル 生活
床をフローリングに替えたい。浴室を新しくしたい。間取りを変えたい。
自分の部屋のリフォームなのに、管理組合の許可がいるのか——気になりますよね。
結論からお伝えします。
ほかの住戸や共用部分に影響するおそれのある工事は、理事長に申請して承認を受ける必要があります。
床材の張り替え、浴室の入れ替え、配管の交換、間取りの変更などがこれにあたります。
一方で、承認がいらない工事でも、業者が出入りするなら事前の「届出」が必要です。
電球やシャワーヘッドの交換のような工事なら、何の手続きもいりません
つまり手続きは「承認」「届出」「不要」の3段階
この記事では、国土交通省のマンション標準管理規約(令和7年10月改正版)をもとに、その線引きを整理しました。
※内容は2026年9月時点のものです。

リフォームの手続きは「承認」「届出」「不要」の3段階

リフォーム手続きの3段階

まずは全体像です。
手続き 対象になる工事 工事の例
承認
(理事長に申請)
共用部分やほかの住戸に影響を与えるおそれがある工事 床材の張り替え、浴室の入れ替え、配管の交換、間取りの変更
届出
(理事長に知らせる)
承認はいらないが、工事中に業者の出入りや騒音がある工事 業者が入って行う軽い内装工事など
不要 ほかの住戸に直接も間接も影響しない工事 電球、水道のパッキン、シャワーヘッド、温水洗浄便座の交換
「承認」の根拠は、標準管理規約の第17条第1項です。

区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(中略)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない
出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月改正)第17条第1項

ポイントは「影響を与えるおそれのあるもの」という一言です。
自分の部屋の中の工事でも、床や配管は下の階や建物全体につながっています。
だから、自由にはできない仕組みになっているのです。
そして第7項では、承認がいらない工事であっても、業者の立入り、資材の搬入、騒音・振動・においなど、工事中の影響を管理組合が事前に知っておく必要があるものは、あらかじめ届け出るよう定めています。

承認が必要な工事|国が示している具体例

第17条につけられた国の解説(コメント)では、承認が必要な工事の例として次のものが挙げられています。
  • 床のフローリング
  • ユニットバスの設置
  • 主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置
  • 配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え
  • 間取りの変更
さらに規約の別添には、工事ごとに「何を確認するのか」まで整理されています。
主なものを表にしました。
工事 心配される影響 承認のときに確認されること
床材を張り替える 下の階への騒音 新築時と同等以上の遮音性能があるか
給排水管を改修する
(浴室の改修を含む)
漏水、騒音 排水の勾配、高圧洗浄できる形か、防音対策、共用の縦管とのつなぎ方
大規模なリフォーム 建物の構造(躯体)の損傷 はつり工事などで躯体に悪影響がないか
電気の契約量を増やす
(一定以上に限る)
停電 電気の契約量
大きな給湯器をつける
(一定以上に限る)
ガスの圧力低下 ガスの使用量
窓・玄関ドアを別の部材に替える 外観、防犯・防音性能の低下 色・形・位置、防犯性・防音性
躯体に穴をあける・アンカーを打つ 建物の構造の損傷 躯体に悪影響を与えないか
※「一定以上」の基準(何アンペア、何号の給湯器か)は、マンションの設備に合わせて各管理組合が決めるものとされています。

フローリングは「遮音性能」が審査の中心

いちばん申請が多いのが、床の張り替えでしょう。
国の解説は、フローリング工事について「構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要」とまで書いています。
理由は、床の音が下の階にそのまま伝わるからです。
カーペットからフローリングに替えると、足音や物を落とした音が響きやすくなることがあります。
そのため使用細則で、遮音等級(「LL-45」「ΔLL(Ⅰ)-4」など)の基準を決めているマンションもあります。
床材を選ぶ前に、まず自分のマンションの基準を確認しておくのが近道です。

窓と玄関ドアは、そもそも「共用部分」

見落としやすいのがここです。
窓枠・窓ガラス・玄関扉(錠と内側の塗装を除く)は、専有部分ではなく共用部分です。
そのため、自分の判断だけで交換することはできません。
断熱や防犯のための窓の改良は、管理組合が計画修繕として行うのが原則とされています。
マンションのバルコニーは誰のもの?物置がダメな理由
マンションの結露は誰の責任?分譲と賃貸で変わる負担のルール

届出だけでいい工事と、何もいらない工事

承認がいらない工事でも、それで終わりではありません。
規約の別添では、工事業者が出入りする工事について、工事の時間・内容・業者名を管理組合に届け出るという考え方が示されています。
騒音や振動が出る工事なら、工事の期間と内容を掲示して、ほかの住民に知らせることも想定されています。
なぜ届出がいるのか。
工事のあとで思わぬトラブルが起きたときに、どの住戸の工事が原因だったのかを確認できるようにするためです。
一方、次のような工事は届出もいらないとされています。
  • 専有部分の電球の取替え
  • 水道のパッキンの取替え
  • シャワーヘッドの取替え
  • 温水洗浄便座の取替え
ほかの住戸に、直接にも間接にも影響しない工事、という位置づけです。

申請から工事までの流れ

リフォーム申請の流れ

  1. 管理規約と使用細則を確認する(申請の様式や、床の遮音基準などが書かれていることが多い)
  2. 設計図・仕様書・工程表を添えて、理事長に申請する(第17条第2項)
  3. 理事会の決議で、承認か不承認かが決まる(第17条第3項)
  4. 承認を受けてから着工する
  5. 工事中、理事長などが立ち入って確認することがある(正当な理由なく拒めない)
  6. 工事のあとで影響が出たら、工事を発注した人の責任と負担で対応する(第17条第6項)
申請の窓口は理事長ですが、決めるのは理事会です。
理事会の開催日に合わせて審査されるため、工事の予定日から逆算して、早めに申請しておくのが安心です。
なお、審査のために特別な調査費用がかかる場合は、申請した人の負担とするのが適当、とされています。

審査は「厳しすぎないように」とも書かれている

国の解説には、承認の判断にあたってマンションの高経年化で専有部分の修繕が必要になる場面が増えることも踏まえ、過度な規制とならないようにする、という一文もあります。
つまり、承認の仕組みは「リフォームをさせないため」のものではありません。
建物とほかの住戸を守りながら、必要な工事はきちんと進めるためのものです。

築年数の古いマンションでは「建替え」の話が出ることも

近い将来に建替えなどが考えられるマンションでは、大がかりなリフォームを申請した人に対して、「建替えの検討が始まる可能性がある」と注意を促すのが望ましいとされています。
高い費用をかけて部屋を直した数年後に建替えの話が進むと、二重の出費になりかねないからです。
もちろん、注意を聞いたうえで工事をするかどうかは、本人の判断です。

承認を受けずに工事をするとどうなるか

承認が必要な工事を、承認なしで進めてしまった場合。
規約では、理事長が是正の勧告・指示・警告を行ったり、工事の差止めや原状回復のための措置をとったりできるとされています。
工事を止められたり、元に戻すよう求められたりすると、費用も時間も余計にかかります。
申請した内容と違う工事をした場合も、同じ扱いです。

承認をもらえば安心、ではない

もう一つ大事なのが、承認は「免責」ではないという点です。
承認を受けた工事でも、工事のあとで下の階に漏水したり、共用部分に影響が出たりすれば、工事を発注した人が責任と負担を負います
国の解説も、工事を頼むときは業者と話し合い、あとで影響が出た場合の責任と補償を契約書に明記しておくのが適切としています。
配管まわりの責任の考え方は、こちらの記事で詳しく整理しています。
マンションの漏水は誰の責任?配管の区分と費用負担のルール

業者選びも、手続きの一部と考える

ここまで見てきたとおり、マンションのリフォームは工事の前の手続きが意外と多いものです。
設計図や仕様書、工程表をそろえるのは、実際には工事をお願いする業者の仕事になることがほとんどです。
そのため、マンションのリフォーム実績がある業者かどうかは、見積もりの金額と同じくらい大切なポイントです。
管理組合への申請に慣れている業者なら、書類の準備もスムーズに進みます。
見積もりを取るときは、「管理組合への申請書類も用意してもらえますか?」と一言聞いてみてください。
その答え方で、経験の差が見えてきます。
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まとめ

リフォームを終えたマンションの室内

  • リフォームの手続きは「承認」「届出」「不要」の3段階
  • ほかの住戸や共用部分に影響するおそれがある工事は理事長に申請して承認(第17条第1項)
  • 例:床材の張り替え、浴室の入れ替え、配管の交換、間取りの変更
  • フローリングは遮音性能が審査の中心
  • 窓枠・窓ガラス・玄関扉は共用部分なので、自分だけでは替えられない
  • 承認がいらなくても、業者が出入りするなら届出(第17条第7項)
  • 電球・パッキン・シャワーヘッド・温水洗浄便座の交換は手続き不要
  • 承認を受けても、工事後の影響は発注した人の責任
  • 実際のルールはお住まいの管理規約・使用細則が正
管理組合の承認と聞くと、面倒な関門のように感じるかもしれません。
でもその中身は、下の階の人の静けさや、建物の丈夫さを守るための確認です。
リフォームを思い立ったら、見積もりを取る前に、まず管理規約と使用細則を開いてみてください。
それだけで、工事の段取りがぐっと見通しやすくなります。

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※本記事は国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月改正版)の第17条およびその同コメント・別添2(区分所有者が行う工事に対する制限の考え方)をもとに作成しています(2026年9月時点)。標準管理規約は国が示すモデルであり、実際の規約はマンションごとに異なります。個別の判断については、お住まいの管理規約・使用細則をご確認のうえ、管理会社にご相談ください。