冬の朝、窓が水滴でびっしり。
カーテンの裾が黒ずみ、壁紙の隅に点々とカビが出てきた——。
カーテンの裾が黒ずみ、壁紙の隅に点々とカビが出てきた——。
そこで頭をよぎるのが、「この費用、誰が払うことになるんだろう」という不安ではないでしょうか?
退去時、あるいは管理組合との話し合いで、思わぬ請求が来るのではないかと。
退去時、あるいは管理組合との話し合いで、思わぬ請求が来るのではないかと。
結論からお伝えします。
結露が発生すること自体は、住んでいる人の落ち度とは限りません。
国土交通省のガイドラインにも「結露は建物の構造上の問題であることが多い」とはっきり書かれています。
結露が発生すること自体は、住んでいる人の落ち度とは限りません。
国土交通省のガイドラインにも「結露は建物の構造上の問題であることが多い」とはっきり書かれています。
責任が分かれるのは、結露に気づいたあと、どう対応したか。
そして、住まいが賃貸か分譲かで、話の進め方がまったく違ってきます。
そして、住まいが賃貸か分譲かで、話の進め方がまったく違ってきます。
この記事では、賃貸の負担区分と分譲の管理規約の考え方を、国土交通省の資料をもとに整理しました。
※法令・ガイドラインの内容は2026年8月時点のものです。
※法令・ガイドラインの内容は2026年8月時点のものです。
結露は「建物の構造」で起きることが多い
まず押さえておきたい大前提があります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」では、結露について次のように説明されています。
結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えるものと判断されることが多い
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」別表1
読み方のポイントは前半です。
「結露は建物の構造上の問題であることが多い」と、国が公式に認めているということ。
「結露は建物の構造上の問題であることが多い」と、国が公式に認めているということ。
結露は、室内の暖かく湿った空気が、冷えた壁や窓の表面に触れて水滴になる現象です。
どこが冷えるかは、断熱材の入り方、サッシの種類、住戸の位置(角部屋・最上階・北側)で決まります。
これらは住んでいる人が選べる要素ではありません。
どこが冷えるかは、断熱材の入り方、サッシの種類、住戸の位置(角部屋・最上階・北側)で決まります。
これらは住んでいる人が選べる要素ではありません。
裁判でも「構造の問題」と判断された例がある
同じガイドラインには、実際の裁判例も収録されています。
壁クロスの汚損が結露によるものとしても、結露は一般に建物の構造により発生の基本的条件が与えられるものであるから、特別の事情が存しない限り結露による汚損を賃借人の責に帰することはできない
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」裁判事例
また、「賃借人は見えるところの結露は拭いており、カビの発生に賃借人の過失はない」として、借主の負担をゼロとした判決(枚方簡易裁判所 平成17年10月14日)も掲載されています。
つまり、「結露が出た=あなたの住み方が悪い」と決めつけられる筋合いは、本来ないのです。
賃貸マンションの場合|負担が分かれる3つの条件

賃貸の場合、判断の物差しは国土交通省のガイドラインです。
負担区分を整理すると、こうなります。
負担区分を整理すると、こうなります。
| 状況 | 負担する人 |
|---|---|
| 構造上の理由で結露が発生した | 貸主(賃貸人) |
| 結露を拭き取っていたがカビが出た | 貸主(賃貸人) |
| 結露を知らせず、放置して壁を腐食させた | 借主(賃借人) |
| 家具を壁にぴったり付け、通気を塞いだ | 状況により借主の負担が生じることも |
ガイドラインで借主負担とされているのは、次の3つが重なったケースです。
- 貸主(管理会社)に通知していない
- 拭き取るなどの手入れを怠った
- その結果、壁等を腐食させた
逆にいえば、「知らせた」「拭いた」の2つを満たしていれば、借主負担になりにくいということ。
ここが実務上いちばん大事なポイントです。
ここが実務上いちばん大事なポイントです。
借主が守るべき「善管注意義務」とは
賃貸契約では、借りている人に善管注意義務(善良な管理者の注意をもって物件を扱う義務)があります。
ガイドラインでは、結露を放置してシミを発生させた場合について、この義務に違反したと考えられると説明されています。
難しく聞こえますが、要は「気づいたのに何もしなかった」を避ければよいということです。
難しく聞こえますが、要は「気づいたのに何もしなかった」を避ければよいということです。
壁紙の黒ずみと原状回復費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 賃貸の結露で壁紙が黒ずんだ|原状回復費用は誰が払う?
→ 賃貸の結露で壁紙が黒ずんだ|原状回復費用は誰が払う?
分譲マンションの場合|窓とサッシは「共用部分」

分譲マンションになると、話の構造がガラッと変わります。
相手は貸主ではなく管理組合。判断の物差しは管理規約です。
相手は貸主ではなく管理組合。判断の物差しは管理規約です。
そして、多くの方が驚くのがここ。
窓枠・窓ガラスは、あなたの専有部分ではありません。
窓枠・窓ガラスは、あなたの専有部分ではありません。
国のモデル規約では「共用部分」とされている
国土交通省が公表している「マンション標準管理規約(単棟型)」では、窓枠・窓ガラス・玄関扉(錠と内部塗装部分を除く)は第7条で専有部分に含まれないとされ、別表第2で共用部分に位置づけられています。
| 部位 | 標準管理規約での扱い |
|---|---|
| 窓枠・窓ガラス | 共用部分 |
| 玄関扉(錠・内部塗装を除く) | 共用部分 |
| 室内の壁紙・天井・床 | 専有部分 |
| バルコニー | 共用部分(専用使用権あり) |
ここで「共用部分なら、管理組合が結露対策をしてくれるのでは」と考えたくなります。
実は、その考え方は大きく外れてはいません。
実は、その考え方は大きく外れてはいません。
標準管理規約 第22条が結露を想定している
標準管理規約の第22条(窓ガラス等の改良)は、こう定めています。
共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする
出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」第22条第1項
断熱性能を上げる窓の工事は、原則として管理組合が計画修繕として行う——これが国のモデル規約の考え方です。
さらに注目したいのが、この条文につけられた国の解説(コメント)。
第2項の趣旨として、「結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上」が、想定されるケースとして名指しで挙げられています。
第2項の趣旨として、「結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上」が、想定されるケースとして名指しで挙げられています。
つまり結露は、国のモデル規約が正面から想定している課題だということ。
「個人の住み方の問題」で片づけられる話ではありません。
「個人の住み方の問題」で片づけられる話ではありません。
管理組合がすぐに動けないときは
とはいえ、計画修繕は10年〜15年に一度の大規模修繕のタイミングで行われるのが一般的です。
「今この冬、結露で困っている」という状況には、すぐには間に合いません。
「今この冬、結露で困っている」という状況には、すぐには間に合いません。
そのために用意されているのが第22条第2項です。
管理組合がすみやかに実施できない場合には、各区分所有者が自分の責任と負担で工事できるよう、あらかじめ細則を定めておくことを求めています。
管理組合がすみやかに実施できない場合には、各区分所有者が自分の責任と負担で工事できるよう、あらかじめ細則を定めておくことを求めています。
国の解説では、対象となる工事の具体例として次が挙げられています。
- 断熱性等により優れた複層ガラスやサッシ等への交換
- 既設のサッシへの内窓または外窓の増設
内窓の設置は、結露対策として効果が出やすい工事です。
ただし窓は共用部分なので、勝手に工事してよいわけではありません。
管理規約と細則を確認し、必要な申請・承認の手続きを踏む必要があります。
ただし窓は共用部分なので、勝手に工事してよいわけではありません。
管理規約と細則を確認し、必要な申請・承認の手続きを踏む必要があります。
⚠ 重要な注意
ここで紹介した「標準管理規約」は、国が示すモデル(ひな形)です。
実際の規約は各マンションで異なります。必ずお住まいのマンションの管理規約と細則をご確認ください。
ここで紹介した「標準管理規約」は、国が示すモデル(ひな形)です。
実際の規約は各マンションで異なります。必ずお住まいのマンションの管理規約と細則をご確認ください。
結露で困ったときの動き方【賃貸・分譲別】

賃貸の場合|「記録」が最大の防御になる
- 写真を撮る(日付が残る形で。スマホの撮影日時でかまいません)
- 記録の残る方法で管理会社・貸主に伝える(メールやアプリのメッセージ。電話だけで済ませない)
- 拭き取りを続ける(結露取りワイパーや古タオルで、朝のうちに)
- 改善しなければ、再度書面で伝える
ガイドラインが借主負担とするのは「通知もせず、手入れも怠った」ケースです。
通知した記録さえ残っていれば、退去時の交渉の土台がまったく変わります。
電話で伝えただけでは「聞いていない」と言われかねません。ここは記録主義でいきましょう。
通知した記録さえ残っていれば、退去時の交渉の土台がまったく変わります。
電話で伝えただけでは「聞いていない」と言われかねません。ここは記録主義でいきましょう。
分譲の場合|規約を読むところから
- 管理規約と使用細則を確認する(窓の改良に関する細則があるか)
- 細則がなければ、理事会に相談し、議題として上げる
- 細則があれば、その手順にしたがって内窓設置などを申請
- あわせて補助金の対象になるかを確認
内窓の設置は、住宅の断熱改修を対象とする補助制度が使える場合があります。
制度の内容と期限は年度ごとに変わるため、申請前に最新情報の確認が必要です。
→ 窓リノベ補助金はいつまで?申請期限と予算の目安
→ 窓リノベ補助金の申請方法をわかりやすく解説
制度の内容と期限は年度ごとに変わるため、申請前に最新情報の確認が必要です。
→ 窓リノベ補助金はいつまで?申請期限と予算の目安
→ 窓リノベ補助金の申請方法をわかりやすく解説
よくある3つの誤解
誤解①「共用部分だから管理組合が全額出してくれる」
標準管理規約は「管理組合が計画修繕として実施する」としていますが、それは計画修繕のタイミングでの話です。
今すぐ内窓をつけたい場合は、細則にしたがって区分所有者の負担になるのが一般的。
「共用部分=いつでも組合負担」ではありません。
今すぐ内窓をつけたい場合は、細則にしたがって区分所有者の負担になるのが一般的。
「共用部分=いつでも組合負担」ではありません。
誤解②「結露は住み方の問題だから自己責任」
管理会社からそう言われることは実際にあります。
ただ、国のガイドラインは「結露は建物の構造上の問題であることが多い」という立場です。
換気や拭き取りを続けているのなら、そのまま受け入れる必要はありません。
ただ、国のガイドラインは「結露は建物の構造上の問題であることが多い」という立場です。
換気や拭き取りを続けているのなら、そのまま受け入れる必要はありません。
誤解③「賃貸でも内窓をつければ解決する」
賃貸物件で内窓を設置するには、貸主の承諾が必要です。
無断で設置すると、退去時に原状回復(撤去)を求められる可能性があります。
賃貸の場合は、まず貸主側に対策を求めるのが順番として正しい進め方といえます。
無断で設置すると、退去時に原状回復(撤去)を求められる可能性があります。
賃貸の場合は、まず貸主側に対策を求めるのが順番として正しい進め方といえます。
まとめ

- 国のガイドラインは「結露は建物の構造上の問題であることが多い」としている
- 賃貸で借主負担になるのは「通知せず・拭かず・腐食させた」の3つが重なったとき
- 賃貸では写真と、記録の残る通知が最大の防御になる
- 分譲では窓枠・窓ガラスは共用部分(標準管理規約)
- 断熱性を上げる窓の工事は管理組合が計画修繕で行うのが原則(第22条第1項)
- すぐに実施できない場合は細則にしたがって区分所有者が実施できる(第22条第2項)
- 実際の規約はマンションごとに違うため、必ず自分の管理規約を確認する
結露は、毎朝の拭き取りという地道な作業と、「費用を請求されるかも」という不安が同時にのしかかる、なかなかつらい問題です。
ただ、拠り所になるルールは、きちんと公表されています。
ガイドラインと管理規約という物差しを知っておくだけで、管理会社や理事会との話し合いは驚くほど落ち着いて進められます。
ガイドラインと管理規約という物差しを知っておくだけで、管理会社や理事会との話し合いは驚くほど落ち着いて進められます。
今年の冬は、窓の水滴を拭きながらモヤモヤする時間を減らしていきましょう。
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※本記事は2026年8月時点の国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」および「マンション標準管理規約(単棟型)」の内容をもとに作成しています。個別の事案については、お住まいの管理規約・賃貸借契約書をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
