家のシャッターを毎日しっかり閉めていると、「これで防犯はバッチリ!」と安心していませんか?実は、その“閉めっぱなし”が逆に危険を招くこともあるんです。
この記事では、シャッターを閉めたままにすることの意外なリスクや、実際に起こり得るデメリット、そして安全を保ちながら安心して暮らすための防犯の工夫についてご紹介します。
シャッターを閉じたままのデメリット
空き巣に狙われやすくなる
防犯意識が高い家ほど、シャッターを長時間閉めがちですが、それがかえって逆効果になることもあります。
というのも、シャッターがずっと閉まったままだと、外から見たときに「この家は誰もいないのでは?」と感じさせてしまうのです。
空き巣犯は、事前にターゲットを入念に観察する傾向があり、特に変化のない家や生活感のない家に目をつけるといわれています。
つまり、シャッターが開閉されていない、ポストに郵便物が溜まっている、夜間でも照明がつかないなどの要素が重なると、“不在の家”と見なされる可能性が高まります。
防犯のつもりが、結果的に狙われやすい状況を作り出してしまうのは、本末転倒と言えるでしょう。
異常やトラブルの発見が遅れる
シャッターが閉まっていると、外からの異変にすぐ気づけないというデメリットもあります。隣家からの煙や異臭が漂ってきても、シャッターで閉ざされていると気づくまでに時間がかかることがあります。
窓が割れたとしてもシャッターがあることで目視での確認が難しくなり、発見が遅れてしまうのです。火災やガス漏れなど、早急な対応が必要なケースでは、この“発見の遅れ”が命取りになることも。
緊急時にいち早く状況を察知できるようにしておくためにも、シャッターは完全に閉じっぱなしではなく、時には開けておく柔軟さが大切です。
カビの発生
シャッターを長時間閉めっぱなしにしていると、自然光が入らず、風通しも悪くなってしまいます。その結果、室内に湿気がこもりやすくなり、カビやダニが発生する原因になります。
特に梅雨時や寒暖差の激しい季節には、窓の結露が悪化しやすくなり、壁紙や家具にまで影響を及ぼすこともあるのです。
光が入らないことで室内が暗くなり、気分も落ち込みやすくなるなど、心理的な影響も考えられます。
防犯だけを優先してシャッターを閉めっぱなしにしてしまうと、健康面や住環境の快適さに大きな悪影響を及ぼす可能性があることを忘れてはいけません。
適度な開閉を意識することで、防犯だけでなく、健康的で快適な暮らしを両立させることができます。
最新データから見る防犯傾向
空き巣の侵入経路に関する統計
警視庁のデータによると、空き巣の侵入経路で最も多いのが「窓からの侵入」で、全体の約40%近くを占めるとされています。
これは、窓が侵入しやすく、目につきにくい場所に設置されていることが多いためです。しかし注目すべきは、「無締り」すなわち鍵のかけ忘れによる侵入が、次いで多くの割合を占めている点です。
玄関の鍵をかけ忘れたり、勝手口の窓が少し開いていたりといった、小さな油断が空き巣を呼び込んでしまうのです。
このような背景から、シャッターを閉めるだけでは不十分であり、防犯カメラ、センサーライト、スマートロックなどの他の防犯対策と組み合わせて活用することが重要です。
“日中不在”が狙われやすい理由
平日の昼間は、学校や仕事で不在になっている家庭が多く、空き巣犯にとっては“仕事しやすい時間帯”とされています。
彼らは事前に周囲の住宅を観察し、人の出入りやシャッターの開閉状況、ポストの中身などをチェックしています。
長時間シャッターが閉まっていたり、カーテンがずっと閉まっているといった状態は、留守を示すサインとなってしまいます。一人暮らしや共働き世帯では、日中誰もいないことが多く、侵入リスクが高まります。
在宅を演出するために、照明のタイマーやスマートスピーカーの音声機能などを活用するのも一つの方法です。こうした小さな工夫が、犯行を未然に防ぐ大きなポイントになります。
シャッターを開ける時の注意点
時間帯と頻度
シャッターを開ける際には、「いつ・どのくらい開けるか」がとても大切です。
開けっぱなしにすることに不安を感じる方は、朝の出勤前に短時間開ける、昼間の明るい時間帯に開けておいて夕方には閉めるなど、時間帯を意識して開閉の習慣をつけると安心です。
週に数回でも開閉のサイクルを作ることで、家に人がいるような雰囲気を演出できます。防犯と快適性のバランスを考え、ライフスタイルに合った開け方を取り入れましょう。
外からの視線への配慮
シャッターを開けると、どうしても外部から室内が見えやすくなりますが、工夫次第でプライバシーを保ちながら光と風を取り入れることができます。
たとえば、レースカーテンは光を通しながらも視線を和らげてくれるので、日中でも安心して使用できます。
加えて、窓の下部だけ目隠しフィルムを貼る、鉢植えを並べて視線を遮るといった小さな工夫も効果的です。
外部の視線が気になる場合は、隣家との距離や道路からの位置を考慮して、開ける方向を選ぶのもポイントです。
シャッターの劣化とメンテナンス
シャッターは、普段の開閉が少ないと可動部が固まり、サビや異音、故障の原因になることがあります。電動シャッターは、長期間使用しないとモーターやギア部分の劣化が進む可能性も。
月に数回は必ず開閉する習慣をつけ、スムーズに動くか確認しましょう。汚れがたまっている場合は水拭きや中性洗剤で清掃し、必要であれば潤滑スプレーなどでメンテナンスを行うことも大切です。
年に一度程度は、専門業者に点検してもらうことで、故障を未然に防ぎ、長く安心して使える状態を維持できます。
シャッターに頼らない防犯対策
防犯カメラ&人感センサー
近年では、防犯カメラの性能が飛躍的に向上しており、スマートフォンと連動することで、外出先からリアルタイムで映像を確認できるタイプも登場しています。
録画だけでなく、モーション検知によって通知を受け取れる機能もあり、不審な動きがあれば即座に察知することが可能です。
カメラが設置されていること自体が抑止力となり、空き巣や不審者の侵入を未然に防ぐ効果もあります。
人感センサーライトを玄関や裏口、駐車場などに設置することで、不審者が近づいた瞬間にライトが点灯し、驚かせて退散させることができます。これらは設置も比較的簡単で、費用対効果の高い防犯対策として非常に人気です。
照明やタイマーを使った在宅演出
外出中でも、まるで家に人がいるかのように見せる“在宅演出”は、空き巣のリスクを減らすうえでとても有効です。
タイマー付きの照明器具を活用すれば、あらかじめ設定した時間に部屋の明かりを自動で点灯・消灯でき、留守中でも生活感を演出することが可能です。
スマートプラグやスマート照明を使えば、出先からでもスマホ一つで照明を操作でき、より柔軟な在宅感のコントロールが可能になります。
テレビやラジオの音を一定時間流すなど、音による在宅演出も併用すれば、よりリアルに「生活している家」と思わせることができます。
地域防犯ネットワークの利用
自治体や町内会が主催する防犯パトロールや見守り活動に参加することで、地域全体の防犯意識が高まりやすくなります。
近隣住民同士で情報を共有し、「何か変だな」と感じたときにすぐ声をかけ合える関係を築いておくことが、非常時の助け合いにもつながります。
防犯アプリやSNSを通じて地域の犯罪情報や不審者情報を受け取れる仕組みも増えており、個人では気づけないような危険を早めに察知できる体制も整いつつあります。「地域の目」は、最も身近で効果的な防犯ツールと言えるかもしれません。
このように、シャッター以外にもさまざまな視点から防犯を考えることで、より総合的で効果的な対策が可能になります。
まとめ
シャッターは確かに、防犯対策として有効な手段の一つ。しかし、「閉めっぱなしにする=安全」と短絡的に考えてしまうと、かえってリスクを招くこともあるという事実を忘れてはいけません。
シャッターはあくまでも数ある防犯手段の一つであり、それだけに頼るのではなく、さまざまな要素をバランスよく取り入れることが本当の意味での安心につながるのです。
今日からできる小さな工夫を積み重ねることで、防犯と快適な生活を同時に手に入れることができます。日々の生活の中で、できることから取り組んでみましょう。